コーチOTOYAのブログ

私は食事法と運動を通じて皆さまにマインドフルネスを教えています。あなたが運動をする目的が「体重の減らすこと」「健康になること」「アスリートとして強くなること」または単に「より良い人間」になること...それが何であろうが、永続的な変化をもたらすには、あなたのマインドセットがまず変わらなくてならないのです。それを伝える手段が私にとっては運動であり、食事法なのです。

クロスフィットを理解する㊂【プログラミング解説】

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クロスフィットのプログラミングには、二つの要素を組み合わすことが大切になります。一つ目は人間の身体がエネルギーを作るために必要な代謝経路(エネルギーシステム)、二つ目はワークアウトの型枠とも言える運動様式です。


まずは代謝経路から見ていきます。代謝経路は大きく分けて3種類に分類されます。⬇︎⬇︎⬇︎


クレアチンリン酸経路:

酸素を必要とすることなくエネルギーを生み出す経路であり、動作でいうと重い負荷でのスナッチ、またはクリーンを1回、全力でバイクマシーンをこぐ、または100mダッシュなどがこれにあたります。基本的に10秒以内の高い努力のともなう動作で、この代謝経路が最も使われる言われています。

やっている最中は話すことができず、やり終えた直後は、『はぁー!!はぁー!!はぁー!!』と話すことが難しいほどの呼吸が乱れ、回復にも運動時間の10倍以上かかるものだと理解してください。

 

解糖経路:

身体に蓄えられた糖を化学反応させエネルギーを生み出す経路であり、動作で言うと中程度の負荷で連続で行うスナッチやクリーン、または全力の二歩手前程度のペースでの400〜1,500m走などです。基本的に30秒〜4分程度の時間で、中程度の努力がともなう動作でこの代謝経路が最も使われる言われています。

やっている最中はかなり困難を強いられるけど辛うじて話すことができ、やり終えた後に『はぁー!はぁー!はぁー!』と呼吸の合間に話せる程度呼吸が乱れるものだと理解してください。

 

有酸素経路:

身体に取り込んだ酸素を化学反応させエネルギーを生み出す経路であり、動作で言うと軽めの負荷でウエイトリフティング動作を連続で比較的長時間行う、または自体重での動作を一定のペースで比較的長時間行う、または800m以上の距離を一定のペースで走るなどです。基本的に低い運動強度の運動を一定のペースで4分間以上行う時にこの代謝経路が最も使われる言われています。

やっている最中も、終わった後も比較的楽に話せる程度に呼吸が乱れるものだと理解してください。


人間が運動をする時には、これらの内どれかだけが『主に』使われますが、実際にはこれらが絡み合って使われると言われています。どれかひとつだけが使われるという訳ではありません。

 

そして、クロスフィットのプログラミングを理解する上でとても大切になるのが、これらの代謝経路の中ですべての代謝経路にある程度の刺激を与えることができるものがあるということです。

 

それが何かと言うと『解糖経路』です。

 

解糖経路は有酸素経路にもある程度の刺激を与えることができ、有酸素経路にもある程度の刺激を与えることができます。

 

しかし、クレアチンリン酸経路を主とした運動では、有酸素経路に刺激を与えることが困難となり、逆に有酸素経路を主とした運動でクレアチンリン酸経路に刺激を与えることが難しくなってしまいます。

 

クレアチンリン酸経路を主体とする短距離走選手が、有酸素経路を主体とする長距離持久力選手とマラソンで勝負するとボロ負けしてしまうには想像が付きますよね。

 

その逆で長距離持久力選手が短距離走選手と100m走で勝負するとボロ負けするのも想像が付きよね。

 

しかし、解糖経路を主体とする800mや1,500m走者が、これら両選手と勝負すると勝つことはないにしても、ボロ負けはしないことが分かると思います。

 

クロスフィットが目的とするフィットネスの定義が『広範囲の時間域と運動域における高められた身体能力』であることからも分かるように、すべての運動でこの800mや1,500m走者のようになりたいのです。一つの種目で一番となり、他のすべての種目で負けるようなアスリートになることではないのです。

 

それがクロスフィットのワークアウトが4〜15分程度の『解糖経路』に刺激を与えることを目的としたワークアウトが比較的多い理由なのです。

 

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次にもう一つの要素であるワークアウトの型枠とも言える運動様式を見ていきましょう。

 

運動様式は主に4つあります。それらは『時間優先様式』、『仕事優先様式』、『チッパー様式』、そして『重い日』です。

 

時間優先様式とは、時間が決まっていて、その時間内にできるだけ多くの仕事(ラウンド数)をこなすことを目的とするワークアウトです。パワーの物理公式【Power=(重さx時間)÷時間】からも分かるように時間が一定なので、その時間内でこなすことのできた仕事が大きくなればなるほど、身体が生み出したエネルギーが大きくなります。この様式のワークアウトに使われる動作数は主に3種類となります。

例:"Cindy"
Complete as many rounds in 20 minutes as you can of:
5 Pull-ups
10 Push-ups
15 Squats

解糖有酸素経路が主に使われる見込まれる。】 

 

仕事優先様式とは、運動量が決まっていて、それをやり遂げる時間を時間をできるだけ短くすることを目的とするワークアウトです。パワーの物理公式からも分かるように、今度は仕事が一定となったので、それをやり遂げる時間が短くなればなるほど、身体が生み出したエネルギーが大きくなります。この様式のワークアウトに使われる動作数は主に2種類となります。

例:"Kelly"
Five rounds for time of:
Run 400 meters
30 Box jump, 24 inch box
30 Wall ball shots, 20 pound ball

解糖有酸素経路が主に使われると見込まれる。】 

 

チッパー様式とは、一般的に5〜10種類程度の動作を組合して作ったワークアウトのことで、各動作のボリューム(回数)も比較的多くなります。やり方も特徴的で、それらを数ラウンド繰り返すのではなく、最初から動作を指定された回数終わりにしてから次に進み、最後の動作を終了した時点でのタイムがスコアとなります。一般的に20〜40分、時にはそれ以上と長時間の有酸素的なワークアウトである場合が多いです。

例:For time:
50 Box jump, 24 inch box
50 Jumping pull-ups
50 Kettlebell swings, 1 pood
Walking Lunge, 50 steps
50 Knees to elbows
50 Push press, 45 pounds
50 Back extensions
50 Wall ball shots, 20 pound ball
50 Burpees
50 Double unders

有酸素経路が主に使われると見込まれる。】 


重い日とは、短時間域での無酸素的パワー(全力)を改善していく上で欠かすことができません。クロスフィットの目的とする総合的な身体能力を形成していく上で、もちろん筋力とパワーの最大値を上げることも重要となります。そして、これがクロスフィットが単に『コンディショニングプログラム』ではなく、『ストレングス&コンディショニングプログラム』であると言われる理由です。

例:Deadlift, 5-5-5-5-5 reps

無酸素経路が主に使われると見込まれる。】 

 


クロスフィットのプログラミングをもっと詳しく理解する一番良い方法はクロスフィットの本部のサイトに毎日掲載されるワークアウトをフォローして実際にやってみることです。そして、それらのワークアウトがどのような代謝経路に刺激を与えることを目的として、どのような様式であるのかを実際に分析してみることです。⬇︎⬇︎⬇︎

https://www.crossfit.com/workout/

 

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