ボクシングで必要となる筋力を鍛えるためにも、前回の記事で書いたホメオスタシスの概念が大切になります。簡単に言ったら、あなたが現在持っている筋肉の能力の少し上の刺激を、定期的に向上を目的とする筋肉、または筋肉群、時としては全身に与えるのです。
私がボクシングに筋力トレーニングが必要であると考える主な理由は怪我の予防です。特にパンチの衝撃を受ける肩関節、肘関節、そして手首関節を怪我することが私自身多かったので、これらを中心に鍛えることが望ましいと言えます。
そして、もう一つ私がボクシングに筋力トレーニングが必要であると考える理由は、筋力と関節の安定性を筋力トレーニングにより高めることで、パンチを重くすることができると考えるからです。
私は若い頃、よくボクシング漫画やテレビ中継で「このボクサーはパンチが重い!」とか「俺はパンチが軽いから...」などとあたかもそれが生まれ持った才能のように書かれていたり、言われているのを聞いたことがあります。
しかし、私は同じ体重のボクサーのパンチの重さや軽さの違いの多くは、関節の安定性に関係していると考えます。パンチが当たった瞬間の衝撃でも関節をしっかりと固めることができ、その衝撃を100%伝えることのできるボクサーは重いパンチを打つことができ、逆に関節が衝撃の瞬間に動いてしまい、力を完全に伝えることのできないボクサーはパンチの質が軽くなるのだと考えています。
もちろん、そのボクサーの上半身の動作と下半身の動作の連動性などもパンチの質の大きな要因ですが、全てを考慮した上でも決して改善できない生まれ持ったものではないと私は考えます。
筋力トレーニングを必要とする理由
- 怪我の予防
- パンチの質の改善
では、上の目的を達するためにできる動作をここで紹介していきます。
まずは肩関節を主とする動作:
プルアップ
リングロウ
リングプッシュアップ
リングディップ
サイドプランクパウエルレイズ
リングプランクホールド
テーブルトップホールド
ターキッシュゲットアップ
ウィンドミル
レネゲードロウトーソローテーション
ダンベルエクスターナルローテーション
など...
次に肘関節を主とする動作:
バイセップカールプレス
リバースカール
トライセップエクステンション
チンアップ
ダイアモンドプッシュアップ
など...
最後に手首を主とする動作:
リストカール
リストプッシュアップ
フィストプランクホールド
フロッグスタンドホールド
など...
これらをどのようにプログラムにするかというと、多様なやり方があるのですが、私はそれぞれの動作群の中から使う主な筋肉群がダブらない動作をそれぞれ選び、動作間に短い休憩を入れてローテーションするのが好きです。
ですから...
A1. プルアップ、限界回数; 休憩20〜30秒
A2. ダイアモンドプッシュアップ, 限界回数; 休憩20〜30秒
A3. リストカール, 限界回数; 休憩20〜30秒
X 3 - 4セット
A1. リストプッシュアップ、10〜15回; 休憩20〜30秒
A2. バイセップカール, 10〜15回; 休憩20〜30秒
A3. ターキッシュゲットアップ, 10回/片側; 休憩20〜30秒
X 3 - 4セット
または休憩を取っ払って運動強度を高め、さらにインターバル的に...
5 ラウンド:
16回 レネゲードロウトーソローテーション(交互に行う)
12回 リバースカール
30秒間 フロッグスタンドホールド
休憩2分間
こんな感じですかね...
他にも様々なやり方は存在しますが、あまり複雑する必要は特にありません。筋肉肥大のためにしているのではないので、関節を伸ばし切らずに筋肉に負荷を常に与えておく...などということはぜずに、毎回毎回しっかりと関節の可動域を最大限まで用いた動作で行いましょう。特にホールドをする時は最大限の努力で全身の筋肉を硬直させ、その姿勢を維持するようにすることが大切です。
ご質問がある方はお気軽にご連絡ください。プログラミングを学びたい方も募集中です。
では!