ボクシングで必要となる俊敏性を鍛えるためにも、はじめの記事で書いたホメオスタシスの概念が大切になります。簡単に言ったら、あなたが現在持っている筋肉の能力の少し上の刺激を、定期的に向上を目的とする能力を鍛えるのです。
私がボクシングに『俊敏性のトレーニング』が必要であると考える主な理由は2つあります。先ずは相手との正確な距離を常に維持するため、次の理由はパンチを正確に感知して避ける、ガードする、さらに正確にパンチを繰り出すためです。
このような俊敏性を鍛えるには、『筋肉などの物理的要素を適応させる運動』と『動体視力や反射スピード、バランス感覚などの神経的要素を適応させる運動』の2種類が必要となります。
物理的要素を適応させる運動:
- バウンディングボックスジャンプ
- シングルレッグバウンディングボックスジャンプ
- ラテラルホップ
- トウウォーク
- 縄跳び二重跳び
- タックジャンプ
- ラダードリル
- メディスンボールスロー
- スラムボール
- クラッピングプッシュアップ
神経的要素を適応させるための運動:
これらの運動をする上で大切な点は、その目的が『俊敏性を鍛える』ことであるため、疲労で動作が鈍くなるまでやらないことです。すなわち、毎セットごとに同等の努力度とスピードが保てるように必要に応じて休憩を入れることが成果を最大限に得るために重要なのです。
以上のことを踏まえた上で、私がどのようなプログラムを作るかというと以下の通りです。(私は長時間運動することが良いとは考えていないので、各プログラムは15〜20分程度で終わるように組まれています。)
例1:
A. Zumba(ズンバ)の練習, 5分間
B1. トウウォーク, 20m (10m前向き/10m後ろ向き);休憩なし
B2. ジャグリング, 2分間練習;休憩なし
B3. メディスンボールサイドスロウ, 12〜16回(左右交互);休憩60秒間
X 3セット
解説:
Zumbaは身体各部の連動性の改善と、身体の重心位置と地球の中心を合わせるトレーニングにはもってこいです。これが下手で嫌な人ほど必要です。5分間楽しみましょう。
トウウォークでは戻って来る時に多少キツくなる程度の負荷を持って行います。
ジャグリングは練習すると徐々にできるようになるのでイライラせずに楽しみます。
メディスンボールスロウは毎回全力で投げ、スピードと強度が落ちる前で休憩へと移行します。
例2:
A. ラダードリル, 5分間, 必要に応じて短い休憩を取る
B1. バウンディングボックスジャンプ, 10〜15回;休憩なし
B2. テニスボールパンチドリル, 2分間;休憩なし
B3. スラムボール, 10〜15回;休憩30秒間
X 3セット
解説:
ラダードリルには、数多くのバリエーションがありますが、まずは簡単なのを2〜3種類選び、それらが上手くなってから次へと進みましょう。動作が『だるだる』になる前に短い休憩を入れて5分間行いましょう。バウンディングボックスジャンプは、アキレス腱に大きな負担を掛けるため、最初のうちは注意が必要です。やり足りない程度の回数からスタートし、4週間程度かけて徐々に回数を徐々に増やしていきます。テニスボールパンチドリルは、最初はボール拾いが多いですが、続けていくとある時突然それはやってきます。いちいち考えずに続けてください。スラムボールは毎回全力で行います。スピードと強度が前で休憩へと移行します。
例3:
A. 縄跳び二重跳び, 20〜30回;30秒間休憩 x 4〜5セット
B1. クラッピングプッシュアップ, 6〜12回 ;休憩なし
B2. スティックドリル, 2分間練習;休憩なし
B3. ラテラルホップ, 10〜20回;休憩30秒間
X 3セット
解説:
二重跳びができない場合は練習を5分間程度行ってください。普通の二重跳びに慣れてきたらあや跳びなどのバリエーションも加えていきましょう。クラッピングプッシュアップはスピードと強度が落ちる前に止めます。すティップドリルもその時は突然やってきます。いちいち考えずにひたすらします。ラテラルホップはスピードと強度が落ちる前に止め、休憩へと移行します。
これら以外にも、俊敏性を向上させることのできる運動は数多く存在します。ですが私はむやみやたらに運動を複雑にすることが好きではありません。逆に単純な運動の完成度が大切だと考えています。
ボクシングを毎日している人は、ボクシングの練習との時間を十分にあけて週2〜3回程度、ボクシングを週2〜3回している人は、練習のない日に時間を作って3〜4ヶ月やってみてください。成果を感じられると思います。
ボクシングジムを経営している方は、ボクシングの練習以外の『ボクシングに役立ち、怪我の予防ともなる』このようなエクササイズクラスを週末などにメンバーの方達に提供するのも良いと思います。
もっと詳しく動作やプログラムの作り方を知りたい方はお気軽にご連絡ください。
では!